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shio

私の名はshio
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趣味:事典集め
×お酒 ×タバコ ○甘い物
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文化祭 13
「それ見つけてくれたのか。何処にあったぁ…?」
僕ら入りの剥製を見ても、佐藤の反応はイマイチ。
話している途中でまた棚の向こうに消え、どうやら珈琲の用意を始めているらしかった。
「その辺今ちょっと散らかってるだろう? 悪いなぁ剥製適当に置いてくれて構わないから、
椅子持ってきて座ってくれ。お前砂糖とミルクどうする?」
ヤバイ…と思ったと同時に案の定イタチ本くん、キレました。
でも仕方がないと思う。
イタチ本くんにしてみたら、「適当に」といういう言い方は、やっぱりどうしたって癇(かん)に障(さわ)るだろうし。
でも、だけど…このままだと本当にヤバイよね。
佐藤先生の身の安全を考えなきゃっ、イタチ本くんどうする気なんだろう。
「何で殺したっ!」
「ん?」
「適当に置くって…だったら何であの時このイタチを殺したんだっ」
「どうした、井本…」
イタチ本くんの突然の激昂には、佐藤先生も教師としてピンとくるものがあるのだろう。
珈琲の缶を持ったまま、イタチ本くんの前に佇む顔には緊張の色が走る。
「何で、お前は俺のことを殺したんだっ」
(イタチ本くん、"俺"じゃなくて"イタチ"って言わないと、先生には通じないよ…)
って、突っ込む隙もない。
「井本? お前は死んでないぞ。誰もお前を殺してなんかいないぞ。落ち着け…」
「お前が殺しただろうがっ」
(ああ、もう駄目だぁ~…話が全然通じてないよ)

「だっからさぁ…佐藤先生、俺はこっちなの。本物の井本は剥製の中。そんで、そいつはイタチ!」
「なっ?!」
ああねぇ…。佐藤先生口あけたまま固まっちゃってるよ。
そりゃそうだよね、僕だって井本が入れ替わっちゃったって知った時は、信じられなかったしパニクったもの。
先生大丈夫かな? 理解してくれるだろうか…。
「信じらんないかも知れないけどさぁ、信じてくれないと俺等も困るんだよ。先生もこの際力貸してくんない? 
そんでイタチ! お前の気持ちも解るけど、ちょっと待てよ。まずは相手に現状を理解させることが先決だ」
「先生…大丈夫?」
話を余計ややこしくしちゃいそうな気もしたけど、先生があまりに情けない顔をしているから、放っておけなくて僕も口を挟んじゃった。
「僕、2年3組の田中です…実は今日僕も中に入っちゃって…えへへ」
「どうなってるんだ? お前等、俺をからかっているのか…?」
だよねー…。
そう思うのは当然です、佐藤先生。
面倒だけど、イチから説明しないといけないから、ここはスローテンポの僕の方が適役かも。
出番だね。
「あのね、先生。そもそも事の始まりは文化祭の日で…」
信じて貰える自信なんてまるっきりないけど、信じて貰わなければ困るんだ。
僕は慎重にゆっくり順を追って話すことにした。




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文化祭 | 20:20:55 | Trackback(0) | Comments(10)
文化祭 12
「佐藤だ、行くぞ田中」
イタチ本君は勇んで歩き出したけれど、
僕は井本入りの剥製を持っているから、みんなに見つからないようにするのに気が気じゃない。
T字路になっている廊下の突き当たり、準備室へと佐藤が入って行く。
それを追いかけるようにしてイタチ本君が走り出して、僕はそのまた後を追おうとして慌てて……。
「  」(あ………!)

イタチ本君が振り返って僕の異変に気づき駆け寄ってくる。
僕はその姿をとっても不自然な角度で眺めている。
(あれ?)
「大丈夫か、田中」
「うん、平気…」
平気は平気なんだけど、やっぱり僕の声が何だか変。
「……」
一瞬剥製の方を見たイタチ本君は、またもや向き直って僕の体を揺さぶる。
「おい、田中っ…しっかりしろ田中っ…」
慌てているイタチ本君が、何だかとっても可愛い。
「だから大丈夫だよ。僕こっち。えへへ」
「……」
そうなのだ、僕はどうやらイタチの剥製に入ってしまったようだ。
そして僕の体の方は動いていない。
大丈夫かなぁ…。
「じゃあ、井本は?」
「まだここにいるよ」
「……」
「中どうなってんだ?」
「そんなのお前が一番知ってるだろう」
「……」
「あのぅ…それより、そこで横になっている僕の体を何とかして欲しいんだけど」
「……」
「僕って生きてる? それとも死んでるの?」
「おいおい、勘弁しろよ」
真剣な顔でイタチ本君が脈を取る。それから耳を僕の鼻の方に近づけた。
「ん、眠っているか…気を失っている状態?」
「とにかくこのままはヤバイよ、取り敢えず寝不足で貧血を起こしたって言って保健室連れて行け」とは、剥製の中の井本。
「そうだね、このままは嫌だな」

僕の体を保健室に届けると、いよいよイタチ本君は1人で、僕らの入った剥製を抱え佐藤とご対面するのだった。
否、対決?
準備室の扉をガラッと開け、イタチ本君の第一声。
「佐藤っ」
思いっきりの呼び捨てに慌てて僕が
「……せんせぃ…」
と声音を変えて、付け加えた。
すると、佐藤先生はひょっこり棚の横から顔をだけ出して、
「おぅ井本か。さっきはサンキューな、助かったよ。まあこっちに座って珈琲でも飲……」
あ、佐藤先生、僕らの入った剥製に気が付いた。




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文化祭 | 01:15:20 | Trackback(0) | Comments(6)
文化祭 11
「おい井本、ここの棚を移動させるの手伝ってくれ」
昼休みに技術室へ移動する途中、僕らは学年主任の佐藤教諭に呼び止められた。
井本は運動部で体格もよく、日頃から奉仕作業も快く引き受ける方なので、教師から声を掛けられることが多いのだ。
「……」
だがイタチ本は彼とは別人格。
面倒くさく思ったのか、返事すらしようとしない。
この頃はかなり慣れてきて、井本が自宅で留守番をし、イタチ本は僕と一緒に旨くやっていたのに、いったいどうしたというのだろう。
『ねぇ…』
佐藤先生には聞こえないよう、なるべく小声でイタチ本に注意を促す。
だが苦虫を潰したような表情のまま動こうとしない、イタチ本。
僕は佐藤先生に気づかれないか、心配でならなかった。
『ねぇ、とにかく棚を運ばないと……井本ならさっさとこれ位運んじゃうよ…』
密かに井本と張り合っているイタチ本の心理を逆手に取ってみた。
僕はイタチ本のこともそれなりに認めているけれど、今日はさすがに井本の言うとおり、自分がイタチ使いになったような気がする。


作業途中で予鈴がなり、何とか棚を運び終え僕らは廊下に出た。
「失礼しまーす」
礼をしてからドアを閉めると、途端にイタチ本がため息をつく。
「どうしたの?」
「…アイツなんだよ……」
「え?」
「俺を殺したのは、間違いなくアイツだ」
「佐藤先生が…? ホントに?」
イタチ本は今まで見たこともないような恐ろしい形相をしていた。


井本の家に帰るなり、仕返しをしたいと言い出したイタチ本。
僕と井本は、それを止めるよう必死で説得し続けるも、話は水掛け論になってしまい、いつの間にか空が白んでいた。
「田中、今日俺を学校へ連れていってくれ。そして佐藤から直接話を訊いて真相を確かめよう」
「え…でも……」
「とにかくイタチを捕ったかどうか確かめるのが先決だ。それに覚えているのなら、その時の状況も詳しく訊かないと。
いいなイタチ、もう少し我慢しろ。今はまだ手を出すんじゃないぞ」
イタチ本くんは納得していないようだけど、従わざるを得ないという感じ。
それよりも数週間ぶりでイタチの剥製を学校へ持っていってしまったら、きっと何か言われる。
それに井本も剥製なんだから、どうやって佐藤に会うんだよ。
剥製を抱いたまま佐藤に会いに行くの?
僕そんなの嫌だよ…(ToT)

「…よし、そうと決まれば、お前等は少しでも寝て体を休めろ。
特にイタチ、それは俺の体なんだからもっと丁寧に扱えよ。
明日は必ず昼休みに佐藤の所へ行くんだからな」

(ふて寝してやるっ…(T_T))





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文化祭 | 02:10:21 | Trackback(0) | Comments(4)
文化祭 10
「ぉぃ…おぃ……おいっ、お前等いい加減に俺を無視するのは止めろっ!」
イタチ本が仁王像のような形相をしつつ仁王立ちしている。
つまり仁王さまみたい♪
ここだけの話、いくら井本の顔で睨まれても、中身がイタチだと思うと可愛く思えちゃうんだ。
「はぁ…だいたいお前等アホすぎ…」
イタチ本が呆れたように言ってる。
「何生言ってんだよ。イタチのくせに」
勝ち気な井本は、机の上から必死に応戦。
「それを言うなら、今のお前こそがイタチだろ。それにイタチは賢い動物なんだ。馬鹿にするな」
「ふん、賢かったら人間なんかに捕まらないよなぁ…」
「それはっ、あの時は自分の子供を庇うので精一杯で…」
あ。イタチ本くんが泣いた……。
「イタチ本くん…」
腕で顔を覆っているイタチ本くんの泣き声が教室中に響いた。
「子供がいたの?」
「………」
「イタチ本くんは、その子を庇ってて人間に捕まっちゃったんだね?」
「………」
「これ、良かったら涙拭いて?」
ハンカチを手渡すと、イタチ本くんは僕を見つめた。
「?」
「……田中…グスッ……だっけ?」
「うん?」
「お前は良い奴だな。それに器量良しだ」
「?」
「俺と夫婦になろう」
「……め…おと…?」
するとキャーーーーッ! と。
何、何、子供の泣き声? なんだか井本の方、つまり剥製から聞こえたような。 
イタチ本くんはイタチ本くんで、苦虫潰したみたいな顔で、黙って井本を見つめている。
井本は、
「馬鹿イタチ! こいつは小さいけどメスじゃなねーっつぅの」
「え、めおとって…ええー…?」
「この小さいのがオスぅー?」
僕の驚きと、イタチ本くんの驚きはほぼ同時。
「イタチの雌って、確かオスよりうんと小さいんだよ」
「てっきり田中もメスだと思ったぞ」
「違うよぉ、僕は男なの。そりゃあ女子より小さいけど…そんなの生まれつきだもん仕方ないじゃない。それに身体が小さいってだけで、なんでメスな訳? オスより大きいメスっていないの?」
「………」
「何だよぉ…もう…」
今度は僕の涙腺が壊れた。
「よしよし…」
するとイタチ本くんが僕の涙をハンカチで拭ってくれる。
イタチに慰められるなんて、何か変な感じ。
「それよりイタチ、お前誰かに俺等のこと言わなかったろうな」
「ああ、まだ…」
「まだじゃねーぞ。言ってみろ、お前だってただじゃ済まねぇーからな」
「………」
で、僕ら3人(?)は、今後どうするかって話だ。




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文化祭 | 22:47:15 | Trackback(0) | Comments(11)
文化祭 9
既に後夜祭は始まっていて、学校からかなり離れた所からでも、進行役の声がスピーカーを通して響いていた。
ここまで盛り上がっていれば、誰も僕らに気づくことはないだろう。僕らは安心して校門をくぐる。
「な、だから大丈夫だって言ったろ。今のうち急ごうぜ」
どんな時でも仕切りたがる井本。
だが今日ばかりはどんなことを言っても、僕の小脇に抱えられている限りは、格好がつかない。
とにかく誰かに呼び止められて怪しく見えるのは、僕だけなのだ。
ああ、どうか誰にも見つかりませんように。とにかく家に帰ってしまえば、今夜一晩解決策を練ることだって出来る。
僕はイタチの剥製を抱え、教室にまで戻った。
「良かった、誰もいない…。じゃあ僕今直ぐ着替えるから、待っててね」
「ああ」
イタチの剥製を隣の机に置くと、僕は着ぐるみを脱ぐ。
中に着ていた体操着はびちょびちょ。
着替えながら、ふと思う。
あれ?
イタチの中に井本がいて…井本の意識はしっかりある。
ということは……
「ねぇ、井本。井本の中にいる奴って、井本の記憶は持ってないんじゃないかな」
「だろうな、アイツは俺じゃないから」
「だったら僕らの担任が誰かも判らないんじゃない?」
「……言われてみれば」
「もしかすると、今頃あっちの井本も困ってるかも知れないね」
「勝手に困らせておけばいいさ」
「でも…もしも変なことしてたら、全部井本のせいになっちゃうんだよ?」
「………」
「ねぇ、探しに行く?」
「………アイツが来る」
「アイツ?」
「イタチの中身」
「え、何で判るの?」
「知らねぇよ、けど判る。直ぐ側まで……あっ」
ガラガラッ…
大きな音を立てて井本…じゃなくって井本の外見が来た。
つまりイタチの中身だ。
このさい井本2号と呼ぼう。
「井本2号…」
「何だよ、その呼び名」
本家の井本が不服そうに言う。
「だってその方が判りやすいんだもん」
「何がだよ」
「だってイタチって呼んでも良いけど、どっちかっていうと今の井本の方がイタチっぽいんだし…」
そりゃあ外見はイタチそのもの。
「かといって井本じゃない奴を井本とは呼びたくないし」
「当たり前だろっ」
「だから2号って……あーじゃあジュニアとかは?」
「はぁ?! ふざけてんのか田中ッ」
「え、駄目? じゃあじゃあ井本弟」
「誰が弟なんだよ」
「えっと、えっとそれじゃあイタチ本?」




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文化祭 | 21:27:02 | Trackback(0) | Comments(4)
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