投稿日:2008-01-17 Thu
歩いても歩いても頂上は見えない。ちぃを負ぶったり、おろしたり。
正太は兄として、
弱音は吐けないが、
さすがに疲れが出てきていた。
「兄ちゃん…」
「もう少しだから…」
「兄ちゃんっ!」
「もう少しだから黙ってろ!」
正太はだんだん腹立たしくなってきた。
自分ひとりだったら、もっと楽なのに。
とっくにお山も越えていたかも知れない。
「でも…兄ちゃん…ちぃたちさっきもここ通ったよ…」
「同じように見えてるだけだよ、ちゃんと歩いてるから」
「でも、そこのお地蔵さま…さっきもみたもん」
正太の足がぴたりと止まった。
雲間からはお月様が顔を見え隠れさせていた。
月明かりに、今はちぃの顔がよく見える。
背中から降ろしてやると、
ちぃは、お地蔵様の前で行儀良く手を合わせた。
「お地蔵さまっていうのは似たようなのが沢山あるんだよ」
「ううん、このお地蔵さまだったもん。さっきと同じ衣だもん」
「………」
正太はにわかに不安になってゆく。
そう大きな山でもないのに、なかなか頂上に辿り着かないのも
おかしな話だとは思っていたのだ。
それにしたって、やっぱりおかしい。
ここまでくるのに
脇道らしい道はなかったはずなのに…。


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