投稿日:2008-03-26 Wed
「それ見つけてくれたのか。何処にあったぁ…?」僕ら入りの剥製を見ても、佐藤の反応はイマイチ。
話している途中でまた棚の向こうに消え、どうやら珈琲の用意を始めているらしかった。
「その辺今ちょっと散らかってるだろう? 悪いなぁ剥製適当に置いてくれて構わないから、
椅子持ってきて座ってくれ。お前砂糖とミルクどうする?」
ヤバイ…と思ったと同時に案の定イタチ本くん、キレました。
でも仕方がないと思う。
イタチ本くんにしてみたら、「適当に」といういう言い方は、やっぱりどうしたって癇(かん)に障(さわ)るだろうし。
でも、だけど…このままだと本当にヤバイよね。
佐藤先生の身の安全を考えなきゃっ、イタチ本くんどうする気なんだろう。
「何で殺したっ!」
「ん?」
「適当に置くって…だったら何であの時このイタチを殺したんだっ」
「どうした、井本…」
イタチ本くんの突然の激昂には、佐藤先生も教師としてピンとくるものがあるのだろう。
珈琲の缶を持ったまま、イタチ本くんの前に佇む顔には緊張の色が走る。
「何で、お前は俺のことを殺したんだっ」
(イタチ本くん、"俺"じゃなくて"イタチ"って言わないと、先生には通じないよ…)
って、突っ込む隙もない。
「井本? お前は死んでないぞ。誰もお前を殺してなんかいないぞ。落ち着け…」
「お前が殺しただろうがっ」
(ああ、もう駄目だぁ〜…話が全然通じてないよ)
「だっからさぁ…佐藤先生、俺はこっちなの。本物の井本は剥製の中。そんで、そいつはイタチ!」
「なっ?!」
ああねぇ…。佐藤先生口あけたまま固まっちゃってるよ。
そりゃそうだよね、僕だって井本が入れ替わっちゃったって知った時は、信じられなかったしパニクったもの。
先生大丈夫かな? 理解してくれるだろうか…。
「信じらんないかも知れないけどさぁ、信じてくれないと俺等も困るんだよ。先生もこの際力貸してくんない?
そんでイタチ! お前の気持ちも解るけど、ちょっと待てよ。まずは相手に現状を理解させることが先決だ」
「先生…大丈夫?」
話を余計ややこしくしちゃいそうな気もしたけど、先生があまりに情けない顔をしているから、放っておけなくて僕も口を挟んじゃった。
「僕、2年3組の田中です…実は今日僕も中に入っちゃって…えへへ」
「どうなってるんだ? お前等、俺をからかっているのか…?」
だよねー…。
そう思うのは当然です、佐藤先生。
面倒だけど、イチから説明しないといけないから、ここはスローテンポの僕の方が適役かも。
出番だね。
「あのね、先生。そもそも事の始まりは文化祭の日で…」
信じて貰える自信なんてまるっきりないけど、信じて貰わなければ困るんだ。
僕は慎重にゆっくり順を追って話すことにした。


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