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上履き
中三の夏休みが始まる前、
突然、親友の美菜が入院した。

小学生の頃は、幾度か入退院を繰り返していた彼女だったが、
ここ数年身体に不調があるなどとは全く聞いていなかったので、
正直私は驚いた。

「どーしよー…私受験ヤバイよぉ」
「大丈夫だって、いざとなったら何処でも良いじゃん。
私も同じトコ受けるし、勉強は高校行ってから二人で頑張るってことで、
大学受験で勝負しようよっ」
「ホントォー? 同じトコかぁ…楽しいだろうなー。 
でも沙耶は頭良いもん、やっぱりダメ、同じトコは無理だよぉ…」
「大丈夫、絶対一緒のトコに行くから」
何処へ行っても二人は一緒。
病室のベッドに寝かされている彼女を前にしても、
私たちは、どちらかの部屋に来て話しているようなつもりでいた。


どうしてこうも中3という時間は早く過ぎてしまうのか。
数週間はあっという間で、今日は1学期の終業式だ。
3-2の下駄箱に、美菜の上履きが残っている。
持って行ってあげようかとも思ったが、
美菜の家は父子家庭、
持っていったら、かえっておじさんの負担になるかも…。
私が代わりに持って帰って洗ってあげてもいいけど、
もしかおじさんが取りに来たら……。
そう考えているうちに、そこで思考は止まってしまった。


夏休みの間は、あまり見舞いに行けなかった。
受験生だからだ。
塾のスケジュールはハードだったし、
何より担任から、
美菜の病気は死ぬようなものじゃないのだから、
自分の勉強を第一に考え、
せめて見舞いは2週間に1回ぐらいになさいと、
釘を刺された。
母の監視の目もあった。

それでもなんとか時間を作って見舞いに行くと、
美菜は嬉しそうに病棟を走り回り、
待合い室の片隅で、一緒に缶ジュースを飲み、
私たちは美菜が片思いしている彼の近況や好きなアイドルの話をした。
美菜は元気だった。


新学期が始まった。
美菜の上履きは、結局あのままだった。
やっぱり私が洗ってあげるんだったと後悔しながら、
ふとあんなに元気なのに
何故退院できないのだろうことに疑問をもった。
だが2学期になると
進学校で有名な私たちの中学は、
1学期とは比べものにならないぐらい
受験一色になってゆく。
いつしか私の頭の中からも、美菜の病気のことは薄れていった。


十月にもなると、
朝から皆疲れた顔をしていた。
口を開いても、
お互い探りを入れるような会話ばかり。
こんな時、美菜がいてくれたら…と、
親友という、今空席になっている心の隙間を
私は3階の踊り場から、窓の外を眺め寂しく思った。
ここは見晴らしがいい。
学校の正門から住宅街を真っ直ぐに走る道路が、
なお視界を広げている。
視線の先に、一本だけ唐突に伸びている杉の木があった。
あそこはちょうど美菜の通学路にあたる所だ。
後少しでHRが始まる。
それでも教室に戻る気にはなれないでいると、
じわじわと上がってきていた気温が、
一瞬すうっと和らいだ。
風が窓から入り込んできていた。
「あ…」
杉の木を見ていて、私は分かった。

「2組の中川美菜が死んだってー」
割れそうな大声で誰かが叫んでいる。
それも、あたかも珍獣でも見つけたかのような
大はしゃぎの声音だ。
下の階からだった。
私は急いで階段を駆け下りた。
声が近づく。
その声の主は騒ぎながら階段を上ってきて、
私の目の前を通り過ぎようとした。
同じクラスになったことはないが、学年は一緒の女子だった。
私はその子の腕を咄嗟に掴んだ。
「何嘘ついてるのよ!」
分かっているのに、私は否定したかった。
その子に向けている感情が、八つ当たりだということも頭では充分理解している。
「ホントだって。嘘だと思うなら職員室に行ってみなよ。
黒板に書いてあるからっ!」
私はまた走り出した。
乱暴に職員室の扉を開けると、黒板の文字を確認した。


葬式が終わって、数週間もすると、
誰も美菜の話をしなくなった。
なのに下駄箱には、まだ美菜の上履きがある。
私は毎朝、上履きを確認してから教室へ向かう。

担任はおじさんに、遺物を渡さなかったのかな。
上履きだけ忘れてしまっていたのかな。
だいたい掃除当番のコだって、なんで担任に言わないのだろう……。
まあ良い、上履きだけでも残っていれば
まだ美菜が側にいてくれているような気がする。
帰りがけ、私はひと目を忍んで上履きを撫でてゆく。

『お母さんが死んだのって、私が小三の時の×月×日なんだけど。
私、お母さんがいつも側にいるのが分かるんだ。
変なこと言ってるって思う?

誰も信じてくれないんだけど、
あれから毎月×日になるとね、肩が重くなるの。
お母さんが手を置いてくれてるんだって思うんだ。
だからちっとも寂しくないの。
沙耶って、そういった不思議な経験ある?』




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この作品は、カチハヤのシナリオ日記さん『名前を書く』 へのトラックバック記事です。






















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夢路(short-short) | 06:06:14 | Trackback(0) | Comments(4)
コメント
(U・x・U)いえいえ。カチハヤさんの所は読者さん多いですから、
忘れていても致し方ないと思いますよ^^
2008-02-04 月 10:20:25 | URL | shio [編集]
はじめてじゃなかったんですね、どうもすみません。

そういえば、昔バイトで、新しく入った子に「(会ったの)はじめてだよね」って言ったら「違いますよ!」って言われたことがありました。

どうやら今でも変わってないようです。
2008-02-03 日 18:04:35 | URL | カチハヤ [編集]
http://cinnamonsbox.blog4.fc2.com/
(U・x・U)カチハヤさん、ご承認くださって、ありがとうございます。
ところで…カチハヤさんは初めてとおっしゃいましたが、
初めてじゃないんですよ。

私がカチハヤさんの所で、シナリオというものを初めて目にしたのが、
去年の11月頃でしたか。
その頃のコメントに、拙い文で、初めてシナリオを見たこと、映像が浮かんで驚いたことなどを書いているはずです。

その節この節、本当にお世話になります。
今後ともよろしくお願い致します。

さて、カチハヤさんが男性だったことを、先程初めて知りました。
驚いています。
2008-02-03 日 03:36:23 | URL | shio [編集]
はじめまして。

トラックバック承認いたしました。

これからちょくちょく拝見させていただきます!
2008-02-02 土 16:42:16 | URL | カチハヤ [編集]
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