投稿日:2008-02-15 Fri
また静寂がやってきた。パンも食べてしまったし、ジュースも飲んでしまった。
井本が寝てしまうと、15分は結構長い。
僕もかなり眠かったのだが、ふたりで熟睡してしまったら
起きられなくなりそうなので我慢することにした。
仕方がないので暇つぶしに、飾ってある物を順に見て回る。
(すげー…この年って男バス強かったんだな……)
ぎゅうぎゅうにひとっ固まりに飾られた楯やトロフィーが、
皆同じ年度なのに感心した。
「…田中っ、田中ってば」
僕は井本を振り返った。
「何? 井本…」
「俺、これどうなってんの?」
「何が?」
「だからなんで俺こんな中に入っちゃってんだよ」
「なんでって……井本、もしかして寝ぼけてる? 僕ら今日は仮装喫茶をやってるんだろ」
「そうじゃないよ、そっちじゃない。こっちだって…こっち…」
「はぁ?」
「俺が入ってるのは熊じゃない」
「何言ってんだよクマだよ。あー…もうこんなに寝起きが悪いなんて知らなかったよ。
ほら…起きろよ井本…何寝ぼけてるんだよ…」
僕はクマの頭の部分を外そうとした。
だが何処かが引っかかってるのか、うまく外してやれない。
「だ・か・らー…そっちじゃないのッ」
「え…」
声が反対方向から聞こえる。
クマを被った井本ではなく、今僕の背中の方から…。
だが振り返るとあるのは、イタチらしき剥製。
「そう、今お前が見てるのがオ・レ」
「ええっ?」
「なーどうなってんの?」
「どうなってるって…こっちこそ、この中どうなってるの? いつ仕掛けたんだよ?」
「だから仕掛けじゃないって……あッ…乱暴に扱うなよ。壊れたらどうするんだ」
「大丈夫、でも凄いなー…こんな小さな中に入るようなスピーカーって、売ってるんだ…」
「違うスピーカーじゃない、俺が入ってるの」
「いい加減にしなよ。それより僕らもそろそろ教室戻らないと」
「だから、このままじゃ戻…」
もぞもぞっとクマの着ぐるみを着た井本が動いた。


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