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shio

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文化祭 8
ぐるぐるぐるぐる、いろんなことを考える。
イジメられていた時のこと、さっきの女子たちの笑顔、
鏡でいつも見ている自分の容姿、 モテまくっている井本、
男らしいとか女らしいとか…僕らしいとか……。
考えてゆくうちに疲れてきて、そのうちどちらも話さなくなって、
ふたりで、ただ空をぼんやりと眺めていた。

「あ、ねぇあの雲…」
言ってから、しまったと思う。 のんきに雲なんて眺めている場合じゃないのに。
「ん?」
けれど怒るかなと思われた井本は、こんな時でも僕のくだらない話に耳を傾けてくれる。
「あの……ほら、手前のぽこっぽこって2つ並んでる雲のすぐ後ろに、ちょっと細長い雲があるでしょ、
あそこだけ空の青と茶色がかったところの混じり具合が綺麗だなーって………あ、 ゴメン……
やっぱり変だね、全然どうでも良いことだから気にしないで……うん……」
「ん、何処?」
井本はどう思ったのか、くすくす笑いながら聞いてくる。
「………あれ、あの右のほうの…」
「あー…あれか」
「なんかパステル画っぽくて、見てると和まない?」
「あー…うん…かもな……」
「あ!もしかして……今イタチだから見えないんじゃないの?」
井本の反応があまりに鈍いので、僕はちょっと不安になる。
「いや、見えてるよ。どうなってんのか解んねぇけど、ちゃんと見えてる。
じゃなくってさ、俺……雲とか、星とかって、言われればキレイだなって思うけど、自分1人だったら、全然気にも留めないんだよね。
だから田中みたいな奴って、面白くってさ。普段どんなこと考えてるのかなって、凄く興味ある。
前に廊下に貼られてた読書感想の水彩画だって、ホント凄かった!
誰もあんなの思いつかねーって、他の奴とも言ってたんだ。田中は感性が、ネ申なんだよな」
「そんなことないよ…」
「いや、あるって。お前はぜんぶが個性的なんだよ。」
個性的…?
「人と比べる必要もないと思う。お前、結構人に合わせようとして、ひとりで疲れてることない?」
「うっ…ある…」
「そんで人と比べて勝手に落ち込んでるだろ。あれ、全っ然意味ねーから。
人に合わせた方がいいキャラの奴もいるけど、お前の場合は合わせる必要ねーよ。
てゆーか、お前元々思いやりがある方だから、それ以上気を使っちゃうと、自分も周りも疲れる。
だからさ、何てゆーかな…クラスのマスコットかアイドルだと思って、ニコニコしてれば良いんだよ。
お前の凄さはもうみんなも認めてるんだしさ。
で、お前を虐めてるごく少数の奴らな、あれは妬みだよ。あいつら地味なくせに目立ちたがってるから。
あんなのは何処にでもいるんだから、放っておけばいいって。
もっとみんなと打ち解ければ、これからは俺だけじゃなくてみんなが味方なんだから」
「でも…」
「何?………はーん…恥ずかしいんだな、お前……照れてるだろ…」
「………」
そう僕、さっきから平常心を心懸けようとしているのに、にまにましちゃう。
ほっとした。
井本には悪いけど、今日っていう日に感謝したい。
「さてと、じゃあ帰るか」
「帰るって、何処に」
「そーだな、今夜は取り敢えず田中の家にでも世話になるかな」





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文化祭 | 21:16:21 | Trackback(0) | Comments(0)
文化祭 7
「嬉しくなかった?」
「……」
嬉しい?
そう考えただけで、頭の中は軽く混乱する。
イジメかイジメじゃないのか、
裏切られた時のダメージを考えると、怖くってやっぱり考えられない。
ぐずぐずしていると、井本は更に続けた。
「あーゆー時、俺だったらすっげー嬉しいけど……。
単純に考えてみろよ、あの時ちょっとでも嬉しくなかった?」

僕の胸の中には、一つのわだかまりがあった。
今もし僕がここで喜んでしまったら、身の程知らずと思われるのじゃないか、という恐れ。


川の音が、急速に僕の耳元に迫ってきた。
ちゃかぽこぼごここ…ちゃろちゃかぼごここ……。
水音は好きだ。
心が洗われるようで、聴いているうちに素直になってゆく。

「全員とは言ってやれないけどさ。
大半の奴は、前からみんなお前のことをイジメてるつもりはないんだよなぁ。
単純に、田中はカワイイって思ってるんだ。
カワイイから、からかいたくなるんだよ」
「……」
井本は説き伏せようとでもいうのか、更に言葉を慎重に選んでゆく。
「……でも、田中はそれが褒められてるとか可愛がられてるとは思えないん…だよな?!」
「うん…」
「それってさ、もしかして自分にコンプレックスもってる…から?!
何だかさ…いっつも攻撃されてるって感じてないか?」
「だって前イジメられたことあったし、
だいたい僕がカワイイ訳ないんだから…
そしたらやっぱり悪意なのかなって、そしたら…」
「だからさ、悪意を持った奴が一人二人いたとしてもだよ、
俺が見てる限りだと大半の奴らに、悪意はないの。
カワイイからからかってるんだって。
あー悔しいなぁ…
他の奴だったら喜んだり、喜ばないにしてもサラッとかわす所で
お前勝手に傷ついて、そんで周りを威嚇するじゃん。
かわいーねー…って褒めてくれてる奴に、田中はイジメないでって威嚇してる」
「………」

黙っていると、今までの悔しい想いが膨れあがってくる。
井本にまで食ってかかりそうになり、僕は必死に堪えていた。
「もっと自信を持てって。それでみんなといっしょになって笑ってれば良いんだって」
「………」
我慢しているところへ、どんどんどんどん入ってくる井本の言葉。
井本はイイ奴だ。
だけど僕の心情も、もう少し汲んで欲しいと思う。
一度だってイジメられたら、怖いんだよ。
記憶をすべて消し去って、みんなを無条件で受け入れられる程僕の心は強くない。
それを簡単に言ってくれる。

つづく




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文化祭 | 22:45:25 | Trackback(0) | Comments(6)
文化祭 6
校舎の外へ飛び出し、僕はイタチを抱え川の土手までやってきた。
ここなら姿勢を低くしていれば死角になるし、人も滅多に通らない。
僕はイタチの剥製を傍らに置くと、空を見上げて寝っ転がった。
「井本…何処か痛い所ない?」
「ん、ないよ」
それにしても大変なことになってしまった。
どうやったら井本を元に戻せるのか、僕には見当もつかない。
だいたい今日これからどうしよう……。
僕は剥製のイタチをそっと見た。
埃をかぶって古ぼけたイタチ。
当然だが生前の精悍さはそこになく、前脚を片方だけ上げたポーズが、妙な味を出していた。
『俺がいなくなったら、誰がお前をかばうんだよ…』
井本はあんな風に言っていたけど、寧ろ今の井本を守ってやれるの僕だけだろう。
本当にどうしよう……。

聞こえてくるのは川の水音、そして時折遠くの方で響く乾いた車の音だけ。
独りになりたい時によく来ているこの場所は、今日も僕を優しく迎えた。
考えたらみたら井本を連れてきたのだって初めてだった。
だってココは僕だけの涙置き場だったから。

「田中ぁ、さっき女子にカワイイって言われたの、あれイジメじゃないって解ったろ?」
井本が、こんな時に自分のことではなく僕のことを言い出したのには驚いた。
しかもいつになく真剣な声だったので、
僕は先程の光景を真剣に、落ち着いて思い出してみることにした。
あそこにいたのは、たしか同じ学年の女子だった。
僕が振り返った時の彼女たちの表情やしぐさはどうだったろうか。
……意地悪そうには見えなかったかも…。
……どちらかというと、いつも井本に向けられているリアクションに近かった?
いやいや、そんなことあるはずがない!

けれど思い出してゆくうちに、またふわふわした気分が僕を包む。





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文化祭 | 22:22:22 | Trackback(0) | Comments(0)
文化祭 5
酷いよ井本…僕は忘れたかったんだ。
そりゃあ頭の何処かでは解ってたよ。
今だってイジメにあいそうな気配があるってことぐらいさ。
だって女子がいまだに僕のこと見て、クスクス笑う時があるもん。
春紀じゃなくって、ハルミちゃんて呼ばれるのだって結局治らない。
……悲しくなってきた。
やたらめったら理不尽に悲しい。
みんな僕のことをオカマっていうけど、
僕はオカマじゃない。
女の子のことだって普通に好きだ。
なのに何だってこんな惨めったらしい気持ちにさせられなきゃならないんだ。
キレたくなったって、体格が女子よりも細いから我慢してるし…。

するとイタチが、
「田中……悲しんでいる所悪いんだが、その前に俺を助けろ!」
「………」
するとクマも、
「田中、もう気が済んだろ……そんな話をするってこと自体、間違いなく、からかわれてるんだって。
早く教室戻って、スピーカー仕込んだ犯人を探した方が良くないか?」
僕は今解った、どちらが本物の井本なのかが。

この横柄な物言い…! そう、それが井本だ。
この勝手な態度… そう、それこそが井本なんだ。
理屈じゃない、もうこの際常識なんて関係ないだろう。
僕はなるべく鬼のような顔付きをしてから振り返った。

「………クマッ…お前、中身はいったい誰なんだよ?」
「田中…? お前とうとう頭にキたか…?」
「誰だって聞いてるんだッ、答えろッ!」
「何言ってるんだよ…」
「お前は井本じゃない! 井本はこっちだ!」
僕は力いっぱい、イタチの剥製を指さす。
するとクマは慌てだした。
「………待ってろ、今誰か呼んでくるから。いいか、そこを動くなよ…」

クマを見送っていると、井本はイタチのくせに酷く真面目な声音で話し出す。
僕は咄嗟に笑いそうになったが、自体は意外と深刻。
だから笑いは堪えなくてはならない。
「おい、田中…このままだとヤバイぞ」
「うん……どうしよう……」
「まったくよォ…せめてイタチに入るのがお前の方だったら楽だったのにな…」
「え、それどういう意味?!」
「いや、まあ…聞き流せ。それよりも、とにかく俺を連れて今すぐここから逃げろ」
「逃げるって、何処へ?」
「そんなの判んねーよ」
「困るよぉ…判んなきゃ何処へも行けないじゃない…」
「おい、お姉言葉になってきたぞ」
「!……知らないよぉ~もぉ~…」

僕は兎の頭を被って、イタチを抱きかかえた。
頭を被った方が、文化祭らしくてみんなに不審がられないだろうとの、
井本のアドバイスだ。
廊下を走る。
「何あれ…兎がイタチ持ってる」
皆が僕を笑っている…。
「ほら、手を振れ!」
「え?」
「良いから手を振ってみろって」
僕は廊下にいた女子たちに手を振った。すると
ピンク色した歓声が上がった。
キャーとかカワイイ~とか言った類のだ。
見えないだろうけど、僕は走りながら兎の中で思いっきり赤面している。
「かわいい」という言葉を聞いて、
怒りじゃなくて、生まれて初めて喜んでいる自分が不思議だった。
いつもなら、からかわれているとしか感じない言葉が
どうして今は褒め言葉に聞こえるのだろう。
今僕は田中じゃなくって兎だからだろうか?
「気持ち良いだろ」
「う、うん…」
走りながら、というか逃げながら、
自体はあまり悦ばしい状況ではないけれど、
そんな時に、僕は素敵な思い出も作れてしまったようだ。

つづく




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文化祭 | 14:34:44 | Trackback(0) | Comments(13)
文化祭 4
僕が向き直ると、井本は身体のコリを解すようにしながら、立ち上がった。
「大丈夫? 井本って寝起き悪かったんだな」
「ん…ああ」
(え…?)
僕はクマこそが井本でないことを知った。
「誰?」
するとクマは
「何言ってんだよ田中、今度はお前が寝ぼけたか?」
「ふざけるなよ、お前…誰?」
「井本だよ…」
「なら、頭取ってみろよ」
「ああ」
クマは頭を外した。
クマの言うように、やはり間違いなく井本だった。井本の顔だ。
「ほら時間ないんだろ、行くぞ」
井本が話す。
けれど…
「井本じゃない!」
「そうだよ、だから俺はこっちだって」
(え?)
忘れていた……剥製のイタチのことを。
「井本…?」
「だからさっきから俺だって言ってるじゃん」
「え…こっち(井本の顔をした方)が井本じゃなくって、こっち(イタチの剥製)が井本?」
「そーだよ」
イタチの剥製は言う。
「じゃあ俺は誰だっていうんだよ」
井本の顔をしたクマがいう。
「井本…?」
「ちがーう、俺はこっちッ」
イタチの剥製が叫ぶ。
僕は正直どちらもが気持ち悪い。
どちらとも一緒にいたくない。
だからつい言ってしまった。
「どっちもいやだ…」
するとふたりほぼ同時に叫んだ。
「なに馬鹿言ってるんだよ」
「馬鹿ってなんだよ…クマの着ぐるみとイタチの剥製って…気持ち悪すぎだろ…」
「おい、おれは着ぐるみじゃないぞ、頭外してるだろ」
「だけど…着ぐるみきてる間におかしくなったんじゃないか…」
僕はもう半ベソ気味だ。
「ほ~ら判ってるじゃないか。だから途中から俺じゃなくなってるんだって」
「でも…、だったら……なんで、どうして?」
「知るかよ…。俺だって教えて欲しいよ。寝てたら、いつの間にかこうなってたんだ」
「田中、早く行くぞ…そんな誰かが仕掛けたイタチの剥製と話してたら、お前アブナイ奴と間違われるぞ」
「やっぱり仕掛け?」
「当たり前だろ…」
「ま、待て田中…じゃあ、じゃあ今の井本見て変だと思ったのは何故なんだ…よく考えろ、
違うって思ってんだろ?」
「そうだった…」
思わず洗脳されそうになった。アブナイアブナイ…。
「剥製は仕掛けなんだって。だってそうだろ、そう考えた方が常識的ってもんじゃないのか?」
クマが言う。
「うん…でも……」
僕は疑いの目でクマを見つつ、やはりイタチも気になる。
「そんなに疑うんなら、只の剥製なんだから分解でも何でもしてみろよ」
クマが言うまでもなく、僕は剥製の中身に興味があった。
否、綿とか何とかの中身じゃなく……。
僕がイタチを持ち上げると
「や、止めろよ…田中ッ早まるな…俺がどうなっても…お前構わないのか…」
「だって…剥製だもん……」
「剥製でも何でも俺が入ってるっつってんだろ」
「だって…」
「いいか、良く聞け田中……もしかお前が剥製を解体してだな、その結果俺が消滅したら
これからお前は誰に庇って貰うんだ?
イジメが無くなったとは思うなよ……今だって俺が目を光らせているから…」
「…………解ってるよ………そんなこと、言われなくたって解ってるよっ」


つづく




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文化祭 | 23:39:11 | Trackback(0) | Comments(4)
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